水野和夫(三菱UFJ証券チーフエコノミスト)
第1部「世界経済 危機脱出への胎動」
- 現在は危機脱出へ向けて何合目くらいに位置するか?
- 構造的な危機克服を意味するのであれば0合目
- A①.の理由、背景は?
- 各国がGDPの2%の財政支出をしたところで、それは一時的なものでしかない。「景気対策」という認識で動いているうちはそれはいずれ元に戻ってしまうもので、0合目としかいいようがない。もし景気循環的な意味合いでいうならばアメリカは1合目、日本は3合目から4合目というところだ。
- 経済危機克服後の世界経済のイメージは?
- 海の国(アメリカ)に対する陸の国(ユーロ、中国、ロシア)の戦いが本格化する。いまはいずれの国、地域も傷付いている状態だが、このあと循環的な要因が7ないし8年で回復に向かったあとは、こうしたステージに向かう。先日フランスのサルコジ大統領がドルの基軸通貨に疑問を呈したのはこの前触れのゴングのようものだ。
海の国と陸の国の戦いは、16世紀に海の国が勝って以降の歴史的な転換点であり、初めから陸の国が勝つことは分かっているというか、避けられない歴史の必然だ。
第2部「問われるニッポンの戦略」
- 日本再生へのキーワードは?
- 「陸の国」への転換・成長志向からの脱却
- A①.の背景は?
- 日本は日英同盟以来、アメリカを中心とする「海の国」の一員として生きてきた。もちろん今もアメリカと一体になって海の国の一部を構成している。21世紀は「陸の国」(EU、ロシア、中国)の時代だ。日本が陸の国に代わるためには日本海を湖にする必要がある。アジアと事実上の陸続きとなる必要がある。
具体的には日本、中国、韓国の間での共同体構想が必要だ。第一段階は、現在のユーロのような経済共同体だが、いずれは国境そのものをなくして政治的にも統合しなければならない。もちろん通過としての円も捨てる。
陸の国は言い換えれば領土を広げる帝国。海の国は理念を広げる帝国だ。日本が陸の国を構成することになれば、30億人の帝国が成立することになる。海の国を退けた後はユーロ、アジアとロシアの戦いが始まるが、もし30億人の帝国を成立させることができればこの戦いで勝つ可能性が出てくる。
もっとも、この30億人の帝国には必ずしも日本が必要でないかもしれない。従って日本が必要だということを感じてもらわなければならない。日本海を内海にして、ジャパンクールのトレンドを捕まえてビジネスにする必要がある。