日経CNBCブログ
Caster's Voice

2019.04.05 (金) 曽根 純恵

次の時代をどう生きるか。

初春の 令月にして 気淑く 風和らぎ
梅は 鏡前の 粉を披き
欄は 珮後の 香を 薫らす

万葉集から初めて引用された新元号は「 令和 」になりました。

平成がまもなく終わります。
振り返ると、まず頭に浮かんだのは、日本で起きた2つの大きな災害。
そして、世界では9.11をきっかけにテロや紛争が頻発したことです。
日経平均株価は、平成元年の12月末に史上最高値3万8957円を記録。その後はバブルが崩壊し、失われた20年に突入。
平成20年9月に起きたリーマンショックを経て、平成21年3月、日経平均は7054円まで落ち込み、バブル崩壊後の最安値をつけました。この時、まさに私は東証アローズからリポート中継をしていました。
その後、米中をはじめとした世界の景気対策、中央銀行の金融緩和策などにより世界景気は立ち直り、アベノミクスも後押しとなって、日経平均は平成27年に、15年ぶりとなる2万円を回復。
平成30年1月には、2万4000円を回復し、10月には27年ぶりの高値を更新しました。
しかし、その直後から、米中貿易摩擦などを重しに年末には2万円を割り込み、
その後、アメリカFRBの金融政策の見直しなどを支えに再び買い戻されたものの、世界景気減速が意識されて上値も追えず、平成31年4月初旬、日経平均は2万1500円近辺の水準です。

私は、2001年から報道に携わり、気がつけば15年間、つまり平成の半分は、毎日マーケットを見続けてきたことになります。それはそれで興味深く、不思議なことだなぁとも思いましたが、この機会にこれから日本がどんな時代を歩んでいくのか、私なりに考えてみます。

先日、国連の関連団体が発表した世界幸福度ランキングで、日本は58位。一方、上位には北欧諸国がランクインし、2年連続トップはフィンランドでした。私にとっては、森と湖の国、ムーミンなど妖精のいる国、サンタクロースがいる国で、子どものころから一度は行ってみたい国だったフィンランドがなぜ1位なのか。その理由は3つあるように思います。

まず1つ目は「 社会保障の充実 」
充分な教育、医療を受けられ、将来不安が軽減されるはずです。フィンランドは、国民の最低限の所得を補償するベーシックインカムを2018年末まで2年間試験的に取り入れていましたが、今年は延長しませんでした。来年、どのように反映されるのか注目したいところです。

2つ目は「 自然を身近に感じていること 」
国土の70%を森が占めるフィンランドで、人々は自然と共に生きているという実感があり、偉大な自然を前に、謙虚でいられるのかもしれません。

そして、3つ目は、「 HYGGE=ヒュッゲ 」
ヒュッゲというのは北欧の幸福概念として知られ、ホッとできる居心地の良い時間や空間を持つことです。外は寒くても、家の中で柔らかな明かりを灯しながら、家族と一緒に楽しく食事をしたりして心安らぐひと時を過ごします。この習慣は、今や、イギリスやアメリカでも注目されています。

フィンランドから日本も学ぶことが多くあると思います。
平成の間に、日本の雇用環境をみると、非正規社員が増加。最近は少し是正の動きがあるものの、正社員になりたくてもなれない非正規社員はまだまだ多く、賃金格差は開いたままです。働き方改革で様々な働き方ができるのはいいことです。
しかし、日本は依然、終身雇用が根強い文化で、上の層は守られています。
私は、企業経営者が、格差是正や富の再配分について、真剣に取り組み、国が一刻も早く、消費増税だけに頼らない社会保障改革に着手し、新たな発想で、将来安心して暮らせる社会を作ることが不可欠だと思います。

国民ひとりひとりは、次の時代をどう生きるべきか。
このところ思うのは、結局、物事をどう捉えるかは自分次第だと、いこうことです。
日本人はおもてなしの国で、細やかであるがゆえに、逆にいろんなことが目についてしまうところがあります。それに、今の時代は経済格差も大きいため、人と比べてしまいがちです。
格差が是正される環境を、国や企業が整える必要がありますが、ヒュッゲの考え方のように、まず自分の内側に目を向けて様々なことに感謝し、周りの人と楽しむことを大切にすると、穏やかでいられるような気がします。居心地の良い時間、空間を増やすと、幸せが増え、心身ともに健康でいられてモチベーションもあがり、新たな発想が生まれてくるように思います。そうすることで、外の世界に挑戦できるのではないでしょうか。そして、自然と共に生きているという謙虚な姿勢もきっと大切なのでしょう。

令和の時代は、改めて「 自分はどう生きたいのか 」を考える時かもしれません。
想像し、自分の頭で考えることはとても大切です。
また、フランス経済学者ジャック・アタリが、「 これからの時代は、自分の利益よりも、他人の利益を優先する利他主義が大切になる。 」と、指摘しているように、自分だけが良いという時代ではありません。
まず、自分がどのように人と関わり、生きていきたいかを考えた上で、相手や周りの人のことを想像し、思いを馳せ、人の気持ちに寄り添い、そして、どうすべきかを自分の頭で考えると、今の時代に横たわる様々な問題も解決に向かう気がします。


自然を前にすると、人間はなにもできません。しかし、内面に目を向け、手を取り合うことで、思いもよらない、なにかを生み出す力が人間にはあるような気もしますし、
宝物が身近にあることに気がつき、知恵を加えれば、輝きを放ちます。
新年号「 令和 」には、美しく心寄せ合うことで、文化が育ち、希望や花を咲かせるという願いが込められているそうです。
まさに、意識改革をした上で、日本人本来の繊細な部分を強みにすると、企業にイノベーションが起き、日本経済にもっと面白い時代が訪れるように思います。

私自身もこのようなことを心掛け、実践していけたらと思いますし、少しでも社会の役に立てるよう歩んでいきたいです。新元号になっても、様々な場所で多くの人と出会い、かかわり、話をしながら、新たな世界が見えてくるのを楽しみにしています。