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2018.01.31 (水)  

スパークスの株主提案を考える

 「朝エクスプレス」アンカーの直居敦です。
 1月に入って株主提案を表明する動きが活発化しています。GMO、日本ペイント、そして帝国繊維に対する株主提案と続きました。
いずれも12月決算企業。3月下旬の株主総会に向けて株主提案するにはぎりぎりのタイミングです。
この調子だと3カ月後にはさらに活発な動きがみられそうです。

今回取り上げるのは、昨年も話題にしたことのあるスパークス・アセット・マネジメントの帝国繊維に対する株主提案(1月19日付け)です。
株主提案の内容は以下の通り。スパークスによれば、「配当については無理な水準を要求しているわけではなく、
現状のキャッシュフローからみてこれ以上キャッシュが積み上がらない水準」とのこと。
また、取締役の任期は、今や東証1部企業の7割以上が「任期1年」を採用しており、株主の信認の機会を増やすことが必要との考えによるものです。

<スパークス、帝国繊維への株主提案>
1.配当を現状の30円から90円に
2.取締役の任期を「選任後2年以内」から「選任後1年以内」に
 
 スパークスは、2014年から帝国繊維への投資を開始。始めは会うこともままならない状態から少しずつ対話を進めました。
バランスシートが非効率であることから、積極的な投資や配当を求めてきました。
時間をかけてここまで進んできた印象です。
帝国繊維への働きかけを公に明らかにしたのが昨年4月。
それでも会社側から前向きな反応が得られないということで今回の株主提案に至りました。

帝国繊維のバランスシートを10年前と比較してみると、
利益剰余金(いわゆる内部留保)の増加分207億円が、ほぼそのまま現預金と有価証券に置き換わっている格好です。。
また投資有価証券(ほぼヒューリック株)が19億円から約200億円へと大きく膨らんでいる点も特徴的です。
 どうしてこうなったか?象徴的だと思う点が2つあります。銀行が主導した2つの奇跡がカギを握ります。
 第一に、帝国繊維は90年代前半にかけて本業の繊維事業(天然繊維の麻が主力)の不振が続き、
経営は危機的な状況に陥りました。これを銀行主導で立て直したのです。
繊維の伝統、技術を生かしつつ、消防用ホースなど官需中心の防災用途が事業の柱になっていきました。
この時の実力者が当時の富士銀行出身で現在会長の飯田時章氏。「ターンアラウンドの立役者」と言えるかもしれません。
 もう一つの奇跡は不動産会社ヒューリックの躍進です。もとは日本橋興業という銀行系の不動産管理会社だった存在を
成長企業に変えました。現ヒューリック会長で富士銀行出身の西浦三郎氏は帝国繊維の社外監査役を務めています。
銀行が起こした2つの奇跡が重なって、現在のいびつなバランスシートに至ったとも言えそうです。

 銀行(メーンバンク)が企業の経営に深く立ち入り、問題があれば経営者を送り込んで経営を立て直す。
その後も経営に関与し続ける--。以前の銀行と企業だったら当たり前の関係でしょう。
しかし、銀行自体にその余裕がなくなり、富士銀行も今では経営統合を経てみずほフィナンシャルグループへと
姿を変えました。
 メーンバンク中心のガバナンスから市場型のガバナンスへ--。
その変化に対応し切れない象徴のような事例にも思われます。
 株主総会は3月下旬。主要株主には、1 損害保険ジャパン日本興亜 5.84%
2 みずほ銀行 4.77% 3 丸紅 4.42%--。いわゆる芙蓉グループ企業がずらり並びます。
株主として企業と建設的な対話ができるかどうか、引き続き注目していきたいと思います。