第4弾《前編》
2018/11/5 公開
マーケットで生き残るために必要なこと
山和証券執行役員ディーリング部長・工藤哲哉
聞き手:「マーケッツのツボ」でおなじみ!鈴木雅光氏(有限会社JOYnt代表)
今年に入ってから、国内株式市場は冴えない展開が続いています。昨年秋口のラリーで大きく稼いだ投資家にとって、今年は投資環境が一変したように見えるでしょう。 それでも、株式投資を続けていく以上、どれだけ厳しい局面であったとしても、生き残っていかなければなりません。 このマーケットの変化にはどのような背景があるのか、厳しい局面でも生き延びていけるトレーダーになるにはどうすれば良いのかを、 20年以上にわたって株式市場と対峙し、利益を上げ続けてきた、山和証券執行役員ディーリング部長の工藤哲哉氏に伺いました。
工藤哲哉(くどうてつや)
丸万証券(現東海東京証券)入社。オプションを中心にして運用の世界に入る。

大東証券(現みずほ証券)に移籍し、現物株式および派生商品のディーリングに従事。
アイザワ証券に移籍してからはディーリングと共に人材育成に取り組む。

その後、シンガポールに渡りヘッジファンドの立ち上げに関わり、帰国後、山和証券に入社。
執行役員ディーリング部長を歴任。
―――今年の国内株式市場は、2月に日経平均株価が大きく下げた後、ほぼボックス相場が続いています。
加えて、今年のお盆休みを挟み、新興株市場が絶不調。個人投資家の間でも、「今年の相場は儲からない」という声がチラホラと聞こえてきますが、マーケットを取り巻く環境に何か変化があったのでしょうか。
工藤 今年に入ってから、ファンダメンタルズの変化が徐々に鮮明化してきたという認識を持っています。

ポイントは2つで、ひとつは欧米の中央銀行が過剰流動性を絞り始めたこと。これまで各国の中央銀行は、景気を支えるためにお金をばらまいてきたわけですが、その蛇口をいよいよ締めはじめました。

日本は当分、今の超低金利政策を継続するという見方もありますが、果たしてどうでしょうか。

各国の中央銀行が緩和から引締めに向かう過程で、日銀だけが緩和を続ければ、為替市場では円安が進み、グローバル・インバランスの問題が生じるなど、さまざまな影響が出てきます。
日銀も世界の中央銀行のひとつに過ぎませんから、世界的に緩和から引締めに舵を切れば、ある程度、日銀もそれに追随せざるを得ないと思います。

もうひとつは消費税率引き上げです。現行8%を、2019年10月に10%へと引き上げる予定です。
消費税率引き上げ前の駆け込み需要や景気対策に期待したいところですが、消費税率が10%になれば、消費へのダメージも想定されます。

こうした点からも、明らかにファンダメンタルズは変わりつつあると考えて良いでしょう。
―――となると、株価はいよいよ下げ相場に入ると考えて良いのでしょうか。
工藤 潮目は変わったと思います。

そう考える根拠は今、申し上げたように、株式市場を取り巻くファンダメンタルズが大きく変わったからです。

したがって今、日本株のロングポジションを持っている方は、量的・質的金融緩和の中で行われた日銀のETF買入や、ニューヨーク・ダウをはじめとする欧米の株価上昇によって、 保有銘柄の株価がどの程度押し上げられたのかを、しっかり見極める必要があります。すでに割高の水準まで買われている銘柄については、ポートフォリオから外すことも考えるべきだと思います。

今の日本経済を俯瞰すると、日本企業がどんどん成長していける状況にないのは明らかです。したがって、今の株価水準を考慮すると、これから先、日本株はある程度の調整を余儀なくされるでしょう。

ただ、あくまでも調整の範囲内と考えています。リーマンショック級の大暴落にはならないでしょう。
いくら緩和から引き締めに向かうといっても、世界中の中央銀行がこれだけの過剰流動性を作り出してしまったわけですから、それを強引に、一気に引き揚げるようなことをしたら、株式市場は完全に崩壊します。

それは、どの中央銀行もよく分かっているので、ドラスティックな政策は取れません。したがって、これから先、株価が下落したとしても、少し大きな調整というレベルで納まると思います。
鈴木 雅光
(すずき まさみつ)
岡三証券、公社債新聞社の記者などを経て独立し、有限会社JOYntを設立。

投資信託や資産運用を中心にして雑誌やオンラインメディアに寄稿する他、出版プロデューサーとして220冊以上の単行本の企画・制作に関わる。

2018年3月まで、日経CNBC「マーケッツのツボ」の聞き手として出演。テレビ番組、ラジオ番組の企画・制作に加え、イベントの運営にも携わる。

またポッドキャストで展開している音声コンテンツ、「はるラジ」では、現在22万人もの登録者を集めている。
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