第9弾《前編》
2019/4/8 公開
カン・チュンド氏インタビュー「株式投資家にお勧めのETFはコレ!」
聞き手:「マーケッツのツボ」でおなじみ!鈴木雅光氏(有限会社JOYnt代表)
株式投資をしている個人投資家の中には、投資信託には見向きもしない方も結構いらっしゃいます。自分で運用出来れば、他人に運用してもらう必要がないのは事実です。 でも、投資信託の中にはETFといって、株式と同じように投資できる投資信託もあります。実はETFのなかには、個別株式に投資している人でも利用価値の高いものが結構あります。 その使い方について、インデックス投資アドバイザーで、しんようFPオフィス代表のカン・チュンドさんに伺いました。
カン・チュンド(しんようFPオフィス代表)
日本で唯一のインデックス投資アドバイザー。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
2000年にしんようFPオフィスを設立。
東京証券取引所、日本経済新聞社などで多数の講演実績を持つ他、投資関連の著書多数。
―――株式投資をしている人は、ETFをどのように活用すれば良いのですか。
カン氏一般的に、株式の個別銘柄に直接投資している方は、投資信託を敬遠する傾向があります。

人に運用してもらうくらいなら自分で運用する、という意識が強いためでしょう。
ETFも広義の投資信託ですが、実は株式の個別銘柄投資を行っている人たちにとって、使い勝手の良い投資信託です。
個別銘柄と組み合わせることによって、投資のバリエーションが大きく拡がりますし、株式投資家でも非常に馴染みやすい商品性を持っているのがETFです。

と言うのも、ETFは株式と同じように、証券取引所に上場されており、株式と同じように日中、場が開いている間、自由に売買できるからです。
取引価格も株価と同じように、その時の市場のセンチメントを反映して、時々刻々、変化していきます。

極端な話、午前中の寄付きで買い、大引けにかけて値上がりしたところで利益確定の売りを行うことも可能です。

ただ、株式投資家がETFを買う一番のメリットは、資産の分散が簡単に出来ることでしょう。 株式投資家の大半は日本株を保有しています。 そのため、日本株のマーケットが全体的に下げている局面においては、いくら業績動向や財務内容の良い企業の株式を持っていたとしても、市場全体の流れに引っ張られて、株価が下落するのが普通です。

そのような時でも、海外の株式市場に投資するETFを持っていれば、日本株の株価下落リスクを緩和できる可能性が高まります。いわゆる資産クラス分散によるリスクヘッジ効果が期待できるのです。
―――具体的に日本株と組み合わせるとしたら、どのようなETFが良いのでしょうか。
カン氏海外の株式市場に投資するETFについて申し上げましたが、まず国内株式のなかでも、ETFを活用することによって分散したポートフォリオを持つことができます。

たとえば「TOPIX-17」という業種別インデックスがあります。

これは食品、エネルギー資源、建設・資材、医薬品、自動車・輸送機というように、東証1部上場企業を17の業種に分類し、各業種の株価動向を示すインデックスですが、これに連動するETFが上場されています。

現在、保有している個別銘柄が輸出関連企業を中心にしているとしたら、食品や電力・ガスなど、内需関連や輸入関連の業種別ETFを組み合わせることによって、ポートフォリオの分散がはかれます。
実際、2018年のTOPIXは、全体が19.83%の下落となりましたが、TOPIX-17の電力・ガスに連動するETFの取引価格は、10%程度の値上がりとなりました。

また、ITを中心にして情報通信関連に将来性があるのは分かっていても、そこから個別銘柄を探し出すのは、意外と骨が折れます。
もちろん、それが好きな方は一所懸命に探すでしょうが、そういうことに時間を取られたくないという人の中には、「業種まるごと投資できれば良いのに」と思っている方もいらっしゃるでしょう。
そういう時、業種別のETFは非常に利用しやすいと思います。
―――海外の株式市場の値動きを反映するETFにはどういうものがあるのですか。
カン氏東証に上場されているETFのなかで、海外の株価インデックスに連動するのは全部で41本あります。

このうち、同一の株価インデックスに連動するETFがいくつかあるので、純粋に連動する株価指数の種類で見ると、36種類になります。

たとえば米国のダウ・ジョーンズ工業株30種平均、S&P500、NASDAQ100といった代表的なインデックスに加えて、 中国のCSI300、韓国のKOSPI200、インドのNifty50指数、タイのSET50指数、イギリスのFT100というように、ある国を代表する株価インデックスに連動するETFもあれば、 MSCI-KOKUSAIインデックス、MSCIエマージング・マーケット・インデックスなど、先進国や新興国全体の株価動向を示すインデックスに連動するETFも上場されています。

このうちお勧めなのが、MSCI-KOKUSAIインデックスに連動するETFです。MSCI-KOKUSAIは、日本を除く先進国22カ国全体に投資したのと同じリターンが得られるインデックスです。
―――ETFのラインナップを見ると、MSCI-KOKUSAIをベンチマークにしたETFは、為替ヘッジなしと為替ヘッジありの2種類があります。どちらを選んだ方が良いのでしょうか。
カン氏海外の株価インデックスをベンチマークにしたETFの基準価額は、為替レートの変動による影響を受けます。

円高になれば為替差損が生じて、円ベースの基準価額が下落し、取引所で形成される取引価格も下落しやすくなります。
そのため、為替リスクが嫌だという方は為替ヘッジありのETFを選ぶ傾向があるのですが、私はむしろ為替ヘッジがない方をお勧めします。

と言うのも、日本の個人が保有している金融資産は、あまりにも円建てに偏っているからです。

金融資産の大半が円建てだと、円安によって輸入物価が上昇した時のインフレリスクに耐えられなくなる恐れがあります。
将来、今よりも円安になるリスクを否定することはできないので、ある程度、外貨建ての資産を持つ必要があります。

前述したように、MSCI-KOKUSAIという株価インデックスは、先進国22カ国の株式市場に分散投資したのと同じ投資効果が期待できるわけですが、同時に幅広い通貨に分散したのと同じ通貨分散効果も期待できます。
ポートフォリオの分散投資効果がより高まるのです。
加えて、期待リターンという観点で申し上げると、為替よりも株式の方が高いので、株式の値上がり益で十分、為替リスクを吸収できるはずです。
これらの理由から、私なら為替ヘッジなしのETFを選びます。
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